扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

東京藝術部

  • 2017年11月3日(祝) 読書会:15:00~16:45、レクチャー:17:00~18:30 懇親会:19:00~
  • 東京藝術部『JAZZ THE NEW CHAPTER』読書会 ゲスト:柳樂光隆

文化の日でもありレコ―ドの日でもある11月3日、神保町で久々の東京藝術部読書会が開催されました。

今年、2017年はジャズ生誕100周年と言われています。それは1917年に「ジャズ」という単語を明記した商業用レコードが初めて発売されたことが理由とされ、ジャズはそこからソウルやファンク、ロックやヒップホップといった様々な音楽に派生していきました。

最近では映画『ラ・ラ・ランド』のヒットもあり、ジャズといえばイメージでつい捉えてしまいがちですが、実は今、ジャズが他の音楽と接続し、一番面白い音楽として新しい動きが起こっています。


 

今回の課題本は、そんな現在のジャズシーンをムックという形で閉じ込めた『JAZZ THE NEW CHAPTER』(以下、JTNCと記載)を課題本として取り上げ、そのシリーズを編纂されている音楽評論家:柳樂光隆さんをゲストにお招きし、現在のJAZZの面白さについてたっぷり紹介してもらいました。

また、今回の参加条件は「課題本の指定範囲の読了に加え、柳樂さん選曲のプレイリストを試聴してくること」。JAZZのイメージを飛び越え、ヒップホップやJポップとも混ざり合うJTNCの世界を参加者はどのように体験したのでしょうか。


 

司会による紹介の後、まずは読書会のスタート。猫町倶楽部の読書会のルールはった一つ、「他人の意見を否定しないこと」。今回の課題本で始めてジャズに触れた人、JTNCシリーズを追いかけている人、紹介されているアーティストが昔から好きだった人、参加者の関心は人それぞれ。10人が読書会に参加すれば、関心が20にも30にも広がっていくのが読書会の魅力です。

また、読書会の各チームにも柳楽さんが参加。課題本の監修者が、参加者と同じ立ち位置で話すことのできる空間は、貴重な機会となっています。それぞれのチームで意見を、感想を重ねていく即興演奏。読書会は言葉の閃くアンサンブル。ここでは知識も発見も驚きも、全てが等価に重なっていきます。


 


 

休憩を挟んで、後半はレクチャーの時間に。今回は即興で、臨時サポーターを務めてくれた司会のしゅん君とのセッション方式。時にフリーに、時に和音を奏でるように会話を進行させながら、より深く広くJTNCの世界を紹介していきます。「最近はビッグバンドが面白い」ということで紹介されたのが、ビョークの楽曲をビッグバンド形式でカバーするTravis Sullivan’s Björkestra。あの名曲が世界観を損なうことなくジャズアレンジとなって。見事な演奏を奏でています。


 

特に印象深いのが、今回の課題曲の軸でもあるリズムの「ズレ」や「よれ」というものについて。普段リズムに馴染みがない人には感覚のつかみにくいビートについて、「歩きながらや走りながら聞くとよくわかる」と応えられていたのが新鮮でした。どれかのリズムに合わせて走ろうとすると、ズレているから腕の振り方がわからなくなる。ブラックミュージックには歩きながらや身体を動かしながら感じることで、新しい楽しみ方が見えてくるという指摘は新鮮でした。


様々な音源を紹介しながらジャズの魅力を語ってもらいましたが、何より、柳楽さん自身がその面白さに未だ魅せられていることが言葉の端々から伝わってくるのが魅力的でした。考えれば考えるほど楽しいけど、考えても馬鹿馬鹿しい時もある。それも含めて、時に頭で、時に身体で楽しめるジャズの寛容さに触れることの出来た時間でした。

最後に課題本を持って記念撮影を。JAZZ THE NEW CHAPTERは好評につきシリーズ化され、現在4巻まで刊行されています。


 

そして会場を変えて懇親会へ移動。レクチャーの興奮も冷め止まず、あちこちでジャズや音楽の話が続きます。読書会から懇親会まで、毎回テーマとなった藝術の話題で盛り上がり続けるのが東京藝術部の特徴。ゲストの柳楽さんにも最後まで参加して頂き、ジャズを軸とした現在のアメリカ文化全般の話まで話題は及びました。


 


 

東京藝術部の次回企画は12/10(日)の東京合同企画のクリスマス会。課題本は長谷川町蔵×大和田俊之『文化系のためのヒップホップ入門』。今回のJTNCで取り上げたアーティストにも大きな影響を与え、現在の音楽について考えるには避けて通れないヒップホップについて、東京藝術部の設立当初から課題本として要望の強かった本書を取り上げます。

また、今回ゲストで参加して頂いた柳樂光隆さんは後藤雅洋さん、 村井康司さんとの共著『100年のジャズを聴く』を今月出版されました。ジャズが持つ時代の奥行き、連続性について掘り下げられ、あらゆる時代のジャズを聴くためのヒントが詰まっています。音楽はいつでも身近にあるもの。だけど自分から一歩踏み出すことで、その世界は二重にも三重にも広がっていくでしょう。


 

文:次郎 写真:麻子

 

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