扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

名古屋藝術部

  • 2020年01月11日(日曜日) 受付開始18:00
  • 1/11(土)【観劇会】『ムンク|幽霊|イプセン』

 2019年11月4日に開催したイプセンの3つの戯曲「人形の家」「幽霊」「ヘッダ・ガーブレル」の読書会の関連企画として、愛知芸術文化センターで、第七劇場が公演するイプセンの「幽霊」を観劇しました。
 愛知県美術館が2016年に『イプセン『幽霊』からの一場面』(以下ムンクの『幽霊』)を購入した時点から芸術劇場と構想されていた企画だそうです。
https://bijutsutecho.com/magazine/news/exhibition/21016

 愛知県美術館10Fのコレクション展で、同館の所蔵するムンク作品7点を集めた展示場4において、第七劇場がモノローグ・パフォーマンスを展開。ムンクの『幽霊』を鑑賞している観衆の中から不意に独白(観劇してセリフだと気づく)が始まり、人々の間を縫いながら劇団員たちが語る演出にドキドキの収まらない20分でした。
*第七劇場 美術館モノローグ・パフォーマンス》
https://www-stage.aac.pref.aichi.jp/event/detail/000174.html

同館では現在、英国コートールド美術館コレクション展が3月15日まで開催中で、併せて観覧された方も少なくないことでしょう。印象派の展覧会は毎年どこかで開催されでてちょっと食傷気味なですが、このコレクションはモネの『フォリー=ベルジェーヌのバー』をはじめてルノアール、ドガ、セザンヌからゴーギャン、ゴッホ、ボナールまで見応えあるものです。
*コートールド美術館展 魅惑の印象派 https://courtauld.jp/

 前置きが長くなりましたが、異例の本を読まない読書会ながら、藝術部の名に恥じないアート三昧なイベントになりました。


 18:15開場の30分前から当日券販売するとのことで、猫町倶楽部も簡易ブースを並べでチケット配布準備。参加者は30名で遅刻0。いやいや集合早すぎて、入場までくつろぐスペースないのに時間もてあましていました。



 開演まではイプセン「幽霊」の舞台は撮影OKとのことで、まるで丸テーブルを囲む3脚の椅子と壁際の小さな丸椅子、小さなソファーというシンプルな舞台設定。四角く囲われた床の三方に短い白線が4本。白い壁に開いた空間が温室でその奥にはフィヨルドの風景がみえるのだそうです。

 イプセンなんて古臭い古典じゃないの?
—いえいえ、セリフもシチュエーションもわかりやすくて、どんどん引き込まれて行きます。90分ノンストップがあっという間でした。

 読書のない猫町倶楽部読書会なんて?
—終わったらきっともう一度、原作が読みたくなります。時間の芸術は、やっぱり拾いそびれるところがでてくるし、演出家による原作との違いも興味深いです。原作を読んでもわからない表現があり、謎が謎を呼びます。たとえば、主人公の死因は?。

 100人足らずの客席と簡素な舞台で面白いの?
—客席のひな段と舞台がフロア続きで距離が近いので、細かなニュアンスが届きます。主人公が飲み干すシャンパングラスの泡立ち具合とかね。

 舞台美術も最小限でよく工夫されています。三方の白線は出入口で、役者たちはその線を跨いで室内に出入りすることで”見えない壁”が出現します。そして、壁をすり抜けてしまう存在が・・・。そして左奥のスポットライトが当たってるムンクの『幽霊』は異界。

 女中だったレギーナはずーっと野暮ったいカーデガンを羽織っているのですが、
「貧乏な娘は若いときを有効に使わないと。」
「わたしにだって生きる喜びはありますから」
と宣言してそれを脱ぎ捨てたとき、彼女のワンピースは背中は腰まで解放されている!

 最後の夜明けのシーンでは、照明がおとされ、温室の向こうに浮かびあがる山頂とフィヨルド。特殊な光沢の布が形作る三角形とひだが、照明に反射して美しく、悲しい終幕ーー最後の叫びはゲーテを思わせました。

いっぱい仕掛けのある演出で面白かったですね。



 開場を出る時にはアンケートとともにこんな投票がありました。(母親は息子の最後に薬(致死量のモルヒネ)を与えたのか)

猫町倶楽部のお楽しみ、興奮の熱を発散する懇親会は22名の参加で、歩いて10分ほどのちろちん村へ。懇親会には演出の鳴海先生と芸術劇場担当の山本さんに出席していただいて、楽しく歓談(いや、素人の質問攻めしてすみませんでした。)



(1)あのシャンパンは本物?—炭酸水とアップルジュースですね。役者が自分好みにブレンドしてるそうです。
(2)牧師役の演技が個性的だったけど演出ですか?—あれは彼の個性です。

参加者の感想は、
・舞台を見るのはこれが初めてで新鮮。
・いろいろな世代の方が演じているところが意外。
・義理の父親役は背が高くて、イメージと違った。
・実際の絵の前でパフォーマンスを見るのは初めてだったので、とても興味深かった。
・実際に演技をみると本では想像がつかなかったところが、具体化されて本の内容が理解できた。
などありました。



鳴海先生からは「愛知県美術館の所蔵するムンクの『幽霊』は購入価格5億円で、その前で「幽霊」のパフォーマンスができるのは一生に1回、演出家冥利に尽きます。」



担当の山本さんからは、
「会場は『幽霊』の周りにムンク作品を並べ、至近距離から鑑賞出きるようガラス額装された作品を選んでもらって、素晴らしい空間造りだせ、劇団と美術館と芸術劇場とコラボレーションがうまくいきました」とのおはなしが伺えました。

次回の猫町倶楽部名古屋藝術部2月のイベント・スケジュールは、

■開催日:2020年2月19日(水)
『文化系のためのヒップホップ入門』
■課題本は長谷川町蔵×大和田俊之
『文化系のためのヒップホップ入門-1』
『文化系のためのヒップホップ入門 -2』
『文化系のためのヒップホップ入門 -3』
からの選択制です。

■場所:JAZZ茶房青猫 名古屋市名東区藤が丘49 アンフィニビルB1
■時刻:受付開始18:45 読書会19:15〜21:15 懇親会21:15~

申込はココ>http://www.bookreading.nekomachi-club.com/schedule/76672

(文責:る・どるふ)

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