扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

東京藝術部

  • 2016年4月17日(日) 
  • 【動画付】『カラヴァッジョへの旅』ゲスト:美術史家 宮下規久朗

今回の東京藝術部は、国立西洋美術館で開催中の『カラヴァッジョ展』関連企画として、読書会・レクチャーイベントが行われました。

会場は猫町倶楽部のコミュニティでお馴染みの「mixi(ミクシィ)」本社。



当日はカラヴァッジョの破天荒な人生を彷彿させる暴風雨にもかかわらず、50名を超える方々にご参加いただきました。





ゲストは、イタリア17世紀バロック美術を専門とする美術史家の宮下規久朗さん。

宮下さんの著作は東京藝術部では「ウォーホルの芸術」「モチーフで読む美術史」に続き、今回の課題本「カラヴァッジョへの旅‐天才画家の光と闇」で3回目となりました。



読書会では、課題本で初めてカラヴァッジョを知った方,宮下さん著作のファンの方,カラヴァッジョ展で興味を持った方やイタリアでカラヴァッジョ絵画に感銘された方などさまざまな感性が集結した読書会となり、課題本を通じてカラヴァッジョ絵画についての忌憚ない意見が飛び交いました。



バロック美術の巨匠・天才画家にして犯罪者というカラヴァッジョの数奇な人生が織り成す光と闇を抜きにしてはカラヴァッジョ絵画は語り尽くせず、読書会でも画家の人生にフォーカスした意見が多く聞かれました。
また、課題本を通じてキリスト教絵画の見方が分かったという貴重な意見も。

宮下さんの著作は中世美術絵画をモチーフから読み解く分かりやすい解説が魅力的で、今回の課題本でもカラヴァッジョの宗教画家としての革新性,写実主義について、キリスト教画の主題・モチーフから解説されています。



 

読書会終了後は、約1時間半に渡り宮下さんによるレクチャーが行われました。



カラヴァッジョ略年表から、38年という画家の短い生涯を追って解説していただき、スライドを用いた絵画の解説も行われました。



初期のカラヴァッジョ絵画《病めるバッカス》では、画家自身がモデルとして描かれており、青白い顔は画家の栄養状態が良くなかったのだろうというお話や、《果物籠を持つ少年》では、果物というモチーフから果物が肉欲の象徴として果物を差し出す少年のホモエロティックな表現に着眼して鑑賞出来るなどといった、カラヴァッジョ研究をご専門とする宮下さんのお話を聞く事が出来ました。

更に『カラヴァッジョ展』で展示されている《トカゲに噛まれる少年》《果物籠を持つ少年》《女占い師》《ナルキッソス》《メドゥーサ》《エマオの晩餐》等の作品についてもレクチャーしていただきました。



また、今回の『カラヴァッジョ展』では観ることの出来なかった礼拝堂壁画についてもレクチャーしていただき、薄暗い礼拝堂で見上げた際の光線の当たり方、明暗法がもたらす効果についてもお話していただきました。
イタリアでのカラヴァッジョ絵画の見方、「美術は実際のものを現地で観ないと絵の角度による光の当たり方、見え方が分からない」という一言はとても印象的でした。

 

懇親会はmixi本社より徒歩5分の南国亭さんにて、ゲストの宮下さんにもご参加いただき和やかな雰囲気の中、開催されました。



宮下さんには各テーブルを回っていただき、参加者からの質問等にもお答えいただきました。



宮下さんとカラヴァッジョの出会いはテレビ番組の「美の美」であった事、美術史家は絵が上手いか下手かどちらかしかいない、音声ガイドを作る上での苦労話、入場者10万人目は家族連れか美男美女カップルがなりやすい(?)などといった、懇親会ならではのユニークな裏話まで飛び出して、大変盛り上がりました。



『カラヴァッジョ展』をはじめ、読書会・レクチャーを通じてカラヴァッジョ絵画を体得する事ができたのではないでしょうか。

読書会を開催するにあたって会場を提供していただいたmixiさん,スタッフさん,美術史家の宮下規久朗さん,ご参加いただいた皆様に感謝いたします!



 

次回の東京藝術部は5/28(土) コンサートレクチャー「ニッポンが誇るド直球クラシック音楽を三本まとめて聴く!」クラシック音楽評論家の鈴木淳史さんのレクチャー付き観賞会となります。ご参加お待ちしております。

 

文:あっきー 写真:次郎

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