扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

東京文学サロン月曜会[文学]

  • 2018年07月29日(日曜日) 受付開始14:30 読書会 15:00~17:00
  • 第102回 東京文学サロン月曜会 九鬼周造『「いき」の構造』

九鬼周造著『「いき」の構造』を読んだ。
この本は、日本人の美意識である「いき(粋)」について考察した本だ。
「いき」という言葉は聞いたことはあるし、その意味もなんとなく知っているつもりでいたが、この本を読んで、この言葉にそんなに深い哲学的な意味があるとは思わなかった。


え、なんでそんな小難しくて読みにくそうな本読んだのかって?
そんなことは決まっている。私が、こういういかにも高尚な本を読むのが好きなエリート階層の人間だからだ!


すいません。嘘です。
いつも参加してる読書会の課題本になってたから読んだだけです。
ちなみにそれは猫町倶楽部という読書会である。

猫町倶楽部の読書会には、その課題本が前から好きだった人や、私のように課題本になったから読んだという人など、さまざまな人たちが参加する。
参加条件は課題本の読了であり、課題本に対する深い理解や広範な知識は特に必要ない(もちろんあっても問題ない)。

猫町倶楽部は課題本の種類でいくつか分科会があるが、今回の『「いき」の構造』を課題本として取り上げたのは猫町倶楽部月曜会文学サロンである。

開催場所は、いつもは代官山chano-maだが、今回はここ清澄庭園大正記念館だ。


ドレスコードはこの季節と開催場所にぴったりな浴衣。


読書会当日は台風が直撃する予報だったが、運よく、前日に通り過ぎてくれたおかげで台風一過の綺麗な青空の下、夏の日本庭園で「いき」について語り合うことができた。



浴衣に身を包んだ「いき」な出で立ちの参加者も集まり、読書会が始まった。


「日本人が好きな色である藍色なんかにも『いき』の考えが背後にあることが興味深い」
「犬と猫なら、猫の方が『いき』だよね」
「あだ〇みつる先生に代表される、くっつくかくっつかないかよくわからない友達以上恋人未満の関係が延々と続く日本のラブコメ作品は決して連載を長引かせるためではなく、『いき』の媚態を表現していたんだ!」

などなど……
(本当に)自由な意見が飛び交った。

猫町倶楽部の読書会は、ルールが1つだけある。
それは、「他人の意見を否定しないこと」。それ以外は何でもOK。
なので、今回のような少し難しい本でも、自分が思ったことを自由に話すことができるのだ。


他にも、「いき」だと思う人はいるか?という話題も出た。

映画の「鬼龍院花子の生涯」の岩下志麻の演技には「いき」を感じた。
寅さんは、容姿はぱっとしないけど、なんかかっこいい。あれは「いき」のかっこよさなのでは?

でも最近の役者とかで「いき」な人って思い浮かばないかも……

たしかに、最近は「いき」という言葉を日常で使うことはない。
江戸時代のドラマや映画でたまに聞くくらいだ。

『「いき」の構造』の解説の中に、「不安定のうちにこそ自由と可能性がある」という言及があったが、そういう発想は自分の中にはこれまであまりなかった。
恋愛相談でも、「当たって砕けろ」とか、「きっぱり諦めたら」とかは良く聞くが、「あいまいな関係を楽しめば」というアドバイスはあまり聞いたことがない。

もちろん、不安定こそが正しいわけではないが、それを楽しむという生き方もあるというのを知って、人生を楽しむ選択肢が増えた気がした。

自分は正直、この本は今回課題本になっていなければ一生読まなかった可能性が高い。
猫町倶楽部の課題本には、今回のように一見とっつきにくい本も多く、そういう本は読むのが少し大変だ。しかし、そういう本こそ、読むことで自分の世界が広がることも多いのだ。


さて、今回の浴衣読書会では、読書会中に庭園に散策に出ることもできた。


散策しながらも、目の前の風景や自分の立ち振る舞いが「いき」かどうかを考えてしまう。

そんな中、一緒に散策している人がぽつりとつぶやいたのが聞こえた。
「あれこそ、まさに『いき』な立ち姿だ……」
「え、どれどれ?」



庭園の散策から会場に戻ると、ちょうど読書会の終了時間。
読書会終了後は、ベストドレッサー賞の選出となる。
今回で言えば、各班の中で一番「いき」な恰好の方を選ぶわけだ。


選出された方々はこちら。
さすがベストドレッサーに選ばれただけあって、みんなずいぶんと「いき」だねぇ。
ベストドレッサーに選ばれた方々おめでとう!

最後に全員で記念撮影。






撮影後は、懇親会。


料理は和洋折衷。



懇親会では、課題本について読書会では話したりなかった部分について語り合ったり、最近はまってる小説や漫画について話したりと自由に交流した。


こっちでは、最近読んだという地震学の本を紙芝居仕立てにして、皆に話しているようだ。



話したりない面々は三次会まで繰り出した。明日仕事な人も多い中、多数の方が三次会まで参加した。私もそのうちの一人だが。。。

しかし楽しい時間は過ぎるのも早い、そろそろ帰らなければ……
帰りたくないが、そういう時を楽しみつつも執着しないというのが「いき」なのだ。

次回の課題本はヴァージニア ウルフ著『灯台へ』である。
開催日は8月26日(日)、会場はいつもと同じ代官山chano-ma。
次回も普段は手に取らないような少し硬い本だが、それゆえに、自分の知らない世界が広がり、それについて皆と話し合えるのが楽しみだ。
私のように、これを機会に普段読まない本を読んでみようという方、元々その作品が好きな方、たまたま読書会で検索してこのページを見て興味が出た方、

是非、猫町倶楽部で会いましょう!

記:hase 写真:iken

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