扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

特別イベント

  • 2018年8月11日(土)  
  • 福岡文学サロン月曜会 浴衣読書会 『陰翳礼讃』 谷崎潤一郎

8/11日(土)、松楠居(しょうなんきょ)で福岡猫町倶楽部としては3回目になる浴衣読書会を行いました。
松楠居(しょうなんきょ)は、昭和11年、大名の老舗醤油メーカーであるジョーキュウ(当時は松村久商店)の3代目社長である松村久吉が60歳のときに建てた住居で、福岡を代表する昭和初期の建築物の一つです。






今回の課題本「陰翳礼讃」の初版は昭和8年(1933年)。
松楠居(しょうなんきょ)は谷崎潤一郎が「陰翳礼讃」を執筆してからおよそ3年後に建てられたということになります。
谷崎が評した日本文化を粋を集めた建物の中で読書をすると、また違った趣がありますね。




ドレスコードは、「浴衣」。
会場には着替えの場所も準備してあります。

福岡の猫町倶楽部の特徴は、県外からたくさん参加してくださることです。
この日も、熊本、山口、大分等からこの浴衣読書会のために遠方からはるばる浴衣を用意して参加してくれました。




猫町倶楽部の読書会には、ファシリテーターという進行役がいます。

読書会の前に、読書会についての紹介と注意事項の説明。
猫町倶楽部の読書会の唯一のルールは、「否定しないこと」です。
「私は〇〇の意見はおかしいと思う」というのはNGです。

読書を通して気持ちよく話し合うためのルールです。

まずは自己紹介。お題は「この夏に向けてとりくめたこと」。
初参加の方も複数いらっしゃいましたので、いきなり本の話題から始めるのではなく、身近な話題から話しやすい雰囲気を作ってくれました。



陰翳礼讃が書かれた昭和8年(1933年)、関東大震災以後、住み慣れていた東京を離れ関西に移住して数年を経て谷崎は、街並みから日本人の心から日本古来の情緒がなくなりつつことを憂いて、この「陰翳礼讃」を書いたといわれています。
その評論は日本だけではなく、海外でも高く評価され、ミシェルフーコー等多くの知識人に影響を与えたそうです。

参加者の読了した感想としては、ようかん、トイレ、椀等の谷崎の美麗な文章を称賛する声や、日本人の情緒についての意見、例えば、浮世絵は手明かりで見ると、最も細部まで鑑賞することができて美しい仕上がりになっている、日本庭園の借景が有名な足立美術館から、絶対領域=ニーソックスまで示唆に富む話に場が沸きました。



その一方で、谷崎は西洋と日本、もしくは中国人とを比較して、日本人のみが陰翳の世界を愛でると評していたが、それは主語が大きいのではないか。
日本の街並みは明るいし、むしろ海外の町並みは暗いぐらいだ。個人の主観によるのでは?
さらには明るい所を求めるのは動物の本能であり、むしろ陰翳を求めることは動物としての方向性として間違いではないかという意見もありました。

また日本の現在と結び付けて、おすそわけされた食べ物を食べることができない人々が増えている、現在はIT化がすすんでいるからVR技術等を使って、蚊が飛んでなくて熱くなくて風情のあるトイレが作れるのではないか等、課題本についてだけではなく、本を通してさらに参加者の価値観から未来の展望まで、複数人で語る読書会ならではの刺激的なトークが続き、最後まで盛り上がりました。

今回のベストドレッサー賞はこちら、目の保養ですね~~~~




最後は、門の前で集合写真をパチリ★




その後、浴衣を着たまま、近くのお店で懇親会を行いました。
老若男女が浴衣を来て、繁華街を練り歩く様はまさに壮観……!
すれ違う人々からの「今日はお祭りかな?」「イベント?」と囁く声。
読書会では語り切れなかった議論の続きからプライベートのことまで、美味しい食事と酒を交えながら、楽しい時間を過ごすことができました。





次回、福岡猫町倶楽部読書会は、川端康成『眠れる美女』です。
猫町倶楽部@福岡文学サロン月曜会では、mixi、twitter、facebookを通じて活動を紹介しています。
課外活動や突発的なイベントの最新情報も随時掲載しておりますので、せひチェックしてみて下さい。

文章、写真:のuこ

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