扉を開けると本の向こう側の世界が広がっていた。

猫町倶楽部とは、参加者が毎回課題図書を読了して集まり、
それぞれの気付きをアウトプットすることで学びを深め合う読書会です。

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  • 名古屋藝術部 ゲスト:大島佐紀子『アーティスト症候群』『アート・ヒステリー』

名古屋藝術部

  • 2019年9月14日(土) 読書会14:00~ レクチャー16:40~ 懇親会18:30~
  • 名古屋藝術部 ゲスト:大島佐紀子『アーティスト症候群』『アート・ヒステリー』

 9月14日(土)、藤が丘の「JAZZ茶房靑猫」に課題本の著者をゲストに迎えて名古屋藝術部の読書会を開催しました。参加者は31名、初参加の方は3名でした。

 課題本は大野左紀子さん著の2冊「アーティスト症候群…アートと職人、クリエイターと芸能人」「アート・ヒステリー…なんでもかんでもアートな国・日本」からの選択制です。「アーティスト」や「アート」という言葉を見聞きすることが多くなり、それがどんな人や物を意味するの分からなくなってきている現状について、そこに至る経緯や背景を芸能ニュースや身近な話題を引合いに笑いや共感を誘いながら、自身のアーティストとしての経験や学術的な分析を伝えて読者に考えさせる、非常に面白い本です。


猫町倶楽部主宰のタツヤさんから挨拶とゲストの紹介があり、大野先生から「読者の方とゆっくり話をする機会はなかなか無いので楽しみです」とお言葉をいただきました。いよいよ課題本ごとにテーブルに分かれて読書会スタートです。靑猫のマスターが用意してくれたお菓子をいただきながら、参加者それぞれの意見や感想を話し合います。猫町読書会のルールはたった一つ「他人の意見を否定しないこと」です。このルールがあることで参加者の誰もが発言しやすい雰囲気が生まれます。つい話に熱が入ってしまった後は一息ついて周りの意見に耳を傾けると、自分の中の別の意見や感情に気づくことも。今回はゲストの大野先生にも順番にテーブルに加わってお話していただきました。



「アーティスト症候群」のテーブルではこんな意見が交わされました。
・芸能人や歌手が日展や二科展に入選したとかイベントの総合プロデューサーに就任したというニュースを見るたびに違和感を感じていたので、本職のアーティストによる作品の評価や作者の精神分析をよんでスッキリした。
・TVでよく見る有名人の作品が入選したり展覧会に出品されることは、多くの人に美術に関心を持ってもらう仕掛けとしては有効だと思う。もともと好意を持っている人の作品が素敵に思えることと、教科書や新聞で名前を覚えた有名な芸術家の作品が高尚なものに思えることは紙一重だと思う。
・広告の仕事をしており、自分が若い頃に先輩から「アーティスト根性を出すなよ」と厳しく言われたのを思い出した。
・若い人たちにとってはアーティストやクリエイターという言葉が標準で、逆に芸術家・音楽家と名乗る方が大袈裟で違和感があるかも知れない。


「アート・ヒステリー」のテーブルでは、アートとは何かが話題になったようです。
・アートという言葉があまりにも溢れているため、それが指し示すものやそこに含まれるものが何なのか分からなくなっている。
・学生時代に美術の成績が悪かったが理由が分からなかった。結局は教師が特権的に決めているだけなのでは。
・現代アートが登場して常に新しい試みが求められる風潮があるが、それもアートの歴史のほんの一部であり絶対的なものではないのでは。


各テーブルで議論が沸くなか読書会は終了時刻を迎え、休憩をはさんだ後はゲストの大野先生のレクチャー開催です。日本の美術教育について、明治・大正・昭和から戦後そして現在までに時代背景や社会的要請によりどの様に変化してきたのかを解説していただきました。実用的技術が求められる時代と想像力や精神性が求められる時代、写真や印刷技術の登場がアートの在り方にどう影響したか、などとても興味深かったです。また、世界各国どこでも子どもの描くものは共通していて、ただの線から曲線や円になっていき、円が描けると顔に足がついただけの人間を描くようになる等、教育が始まる前の本能的な部分のお話もあり面白かったです。

定刻を迎え、課題本を持って参加者全員での集合写真。



読書会の後は場所を移して懇親会です。大島先生にも参加いただき、課題本以外の美術全般についてなど読書会やレクチャー後の質疑応答では出なかった話もお聞きできました。参加者同士でも気になるアーティスト・アート、実際に見た作品・展覧会について、「好きな人の作品に対しては贔屓目になってしまう」「名前で入選している人は絶対にいるはず」「とにかく実物を見て判断するべき」など様々な意見が出て盛り上がりました。




次回の名古屋藝術部読書会は10月26日(土)、美術史家の宮下規久朗さんをゲストにお迎えして開催します。課題本は「闇の美術史-カラヴァッジョの水脈」と「カラヴァッジョへの旅・天才画家の光と闇」の2冊からの選択制です。名古屋市美術館の「カラヴァッジョ展」にあわせて開催する、芸術の秋を満喫できる絶好のイベントです。皆さんと一緒に楽しい会にしたいと思っていますので是非ご参加ください。

(文:リュウセイ 写真:ゆり、HIROKO、リュウセイ)

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